鎮物の納め方
新築工事の安全祈願祭(初穂料五千円)を神社で行った場合、土地の神様へのお供えである「鎮物(しずめもの)」を、お施主様の手で土地へ納めていただきます。
この記事では、土地をお清めし、鎮物をお納めする際の手順についてご説明いたします。
準備するもの
- 鎮物
- お砂
- 切麻(小さく切った紙)
- お米…一合
- お塩…一合
- 日本酒…三合〜一升
鎮物・お砂・切麻は神社より授与します。
お米・お塩・日本酒はご用意ください。(普通に入手できるもので結構です)
お清めの仕方
敷地の中に入り、土地の中央に向かって「今からお清めさせていただきますので、よろしくお願い致します」という気持ちで一礼します。
土地の四隅と中央をお清めします。敷地の北東の隅に立ちます。
神社から授与されたお砂を、袋から直接地面に撒きます。量はおよそ5分の1です。
次に南東の隅に移動し、先ほどと同様にお砂を撒きます。続いて南西、北西と進み、最後に土地の中央で同様にお砂を撒きます。
以上、北東・南東・南西・北西・中央の5箇所に神社のお砂を撒くことは、この場所が神社と同じく清浄な土地であるということを表しています。
再び北東の隅に進みます。お米をひとつまみ取り、左前方の地面に撒きます。続いて右前方、左前方と計3回撒きます。
次にお塩をひとつまみ取り、左・右・左と3回撒きます。次に日本酒を3回、次に切麻を3回撒きます。(日本酒は容器から直接地面に注いでください)
次に南東の隅に進み、米・塩・酒・切麻を同様に3回ずつ撒きます。南西・北西・中央でも同様に繰り返し、お清めが終了します。
鎮物埋納
お清めが終わった敷地の中央に立ち、地面の上に鎮物を安置します。
手を合わせお祈りします。以下のような内容をご自分の言葉に置き換え、心の中で静かに念じてください。
- この土地を使わせていただくことへの感謝
- 工事の安全
- 完成した家の長久と、家族の末永い幸せ
お祈りが済みましたら、土地に対して一礼をして儀式を終了します。
儀式後の鎮物の取り扱い
儀式が終了しましたら、安置した鎮物を回収して、工事をされる工務店の方にお渡しください。
昔は土の中に鎮物を埋め、その上にすぐ家を建て始めました。(埋納といいます)
現代ではコンクリートの基礎を作るため、儀式後に一旦回収し、後日基礎工事を始める際に改めて地中に埋めることが一般的です。
注意点など
服装について
服装の決まりはありませんが、一生に一度あるかどうかの機会ですので、ジャケットを着るなど、少し改まった服装がおすすめです。
日柄について
「この日は良い、この日は悪い」という、いわゆる「日柄」(大安や仏滅など)を気にする必要はないと神社では考えています。しかし「三隣亡(さんりんぼう)」については注意が必要です。
三隣亡は建築上の凶日とされ、この日に建築関係の工事をすると三軒隣の家まで災いがあると言われています。周りを巻き込むことから家を建てる当人が気にしていなくても近隣とのトラブルに発展するケースもあり、避けた方が無難と言えます。
土地が東西南北に面していない場合
土地が必ず東西南北にまっすぐ面しているとは限りません。この場合のお清めは北東に近い隅から始めて時計回りに回ります。
切麻などの後始末
敷地に撒いた切麻などは自然に任せ、土に還るまでそのままにしておきます。風で隣家に飛んでいくなどの問題がある場合は、集めて土に埋めるなどします。
最後に
上記は神職の作法を基本に、大工の伝統や民間の風習などを織り交ぜ、一般の方にも実践しやすい形にまとめたものです。
儀式というと難しく考えられがちですが、食事をいただくときに食べ物に感謝するように、土地そのものに対して「使わせていただく」という感謝の気持ちを表すことが何よりも大切です。
お子様がいらっしゃればぜひ一緒に四隅を回っていただき、お米や切麻を撒くお手伝いをしてもらってください。写真も撮っていただいて構いませんので、ご家族の記念に残るような素敵な行事にしていただければと思います。
以上がお施主様ご自身で鎮物を納める際のご説明です。ご不明な点はお気軽に許麻神社までお問合わせください。